福岡県大牟田市の高齢者に人気の飲み屋街「年金通り」へ名称復活｜RME介護情報ねっと

2015/11/25

年金で暮らす高齢者が集まる福岡県大牟田市の飲み屋街「有明町商店街」の看板が、「人情通り」から「年金通り」へと変わりました。長らく年金通りの愛称で親しまれていましたが、商店街側が若者を呼び込もうと名称を変更。しかし、惜しむ声が相次ぎ、先祖返りとなりました。年金の支給額が減る傾向にあるだけに「お年寄りの懐に優しい憩いの場を目指したい」としています。

中心街の一角にある有明町商店街は、長さ100メートルほどの路地に約20店の居酒屋やスナックがひしめき、昼間から千～2千円で酒やカラオケを楽しめます。市が石炭産業で栄えた昭和30年代はヤマ男たちでにぎわっていましたが、炭鉱閉山後はいつしか高齢者が集う場に。「年金通り」と呼ばれるようになり、この愛称を商店街入り口の看板にも大きく掲げていました。

一方で「年金を受給していない世代でも店に入れるのか」という問い合わせも。そこで、あるスナックのママが「カウンターで一緒に飲めばすぐ仲良くなり、客同士の距離も近い」というのが理由で「人情通り」という名前を発案。今春、「人情通り」と看板も書き換えました。

すると今度は常連客から、「年金通りで浸透しているからなじめない」「高齢者の多い大牟田を象徴するスポットだけに、もったいない」という声が相次ぎました。商店街で検討した結果、元の愛称に戻すことになり、今年9月、再び「年金通り」に看板を戻しました。

常連客の男性（80）は「料金の安い庶民的な店が多く、年寄りにとっては居心地のよい場所。やっぱり『年金』の方がしっくりくるね」。商店街組合の田上茂組合長（86）は「商店街が大勢から愛されていると分かった。格安で飲み食いできる長所を前面に押し出し、年金通りをPRしていきたい」と語っています。

大型ショッピングセンターの進出で、衰退しつつある商店街ですが、この「年金通り」は賑わいをみせているそうです。